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【開催結果】国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(UNFCCC-COP24)における「Oceans Action Day」について

2018.12.13

2018年12月8日(土)、笹川平和財団海洋政策研究所は、ポーランド・カトヴィツェにて開催された国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)の会期中に、政策提言イベント「Oceans Action Day」を約400名の参加のもと開催した。当イベントは、海洋と気候変動の課題について議論する特別イベントとして、グローバル・オーシャン・フォーラム(GOF)、オセアノ・アズール財団、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)等とともに2015年より毎年開催している。「海洋と気候変動の連鎖」を主要テーマとした今回は、気候変動と海洋に関わる国際機関、政府、研究者、NGOなどから約60名が登壇し、海洋の観点から気候変動に関する緩和策および適応策、科学的知見、資金、移転・移住の課題などについて有意義な議論が展開された。

午前に行われたハイレベル・オープニングでは、共同主催者からの挨拶ののち、COP24議長国であるポーランドから、Tomasz Chruszczow COP24気候変動特別大使兼ハイレベル気候チャンピオンが登壇した。Chruszczow氏からは、今年10月に発表されたIPCC1.5℃特別報告書によって海洋と気候変動の問題への取り組みが一層重要となったことや、海洋の保全が経済発展にとっても重要な要素であるとの発言が行われた。続いて、Peter Thomson 国連海洋特別大使は、国連事務総長からのメッセージとして、行動と野心の向上、海洋保全の実施についてのガイドライン、そして資金の安定化の必要性について提言した。また、2020年にナイロビで開催される予定の第2回国連海洋会議での焦点について言及した。さらに、Taholo Kami Ocean Pathway特別代表は、COP25までにフィジーが議長国となって主要50カ国による海洋に係る会議を開催すること、および海洋・雪氷圏に関するIPCC特別報告書と合わせて閣僚級の会合を行うことを提案した。また、非国家アクターの取り組みとして、Ken Alex カリフォルニア州知事事務所計画研究部長は、ブルーカーボンや沿岸域の保護について紹介した。日本からは、白山義久 海洋研究開発機構(JAMSTEC)特任参事が登壇し、異なるステークホルダーの協働の重要性を強調した。そして、角南篤 笹川平和財団海洋政策研究所長の総括によりハイレベル・オープニングが終了した。


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午前に開催されたハイレベル・オープニングの登壇者
(左)Tomasz Chruszczow COP24気候変動特別大使兼ハイレベル気候チャンピオン
(中)Peter Thomson 国連海洋特別大使
(右)角南篤 笹川平和財団海洋政策研究所長)


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ハイレベル・オープニングでのパネル・ディスカッション
(左上)オープニングの登壇者、(右上)会議場の様子
(下)「国際・地域・国家の各レベルでの海洋と気候変動の課題への貢献」と題された
セッションの登壇者。中央はJAMSTECの白山義久特任参事。


午後は、海洋と気候の行動ロードマップ(ROCA)※の主要テーマである「科学的知見」、「適応、移転・移住」、「NDCsと資金」について、3つのセッションが海洋政策研究所の角南所長による開会挨拶のもと日本パビリオンにおいて行われた。このうち「適応、移転・移住」セッションでは海洋政策研究所の前川美湖主任研究員が議長を務め、気候変動に起因する移転・移住問題を概観するとともに、翌週マラケシュで採択される予定の国際移住協定などを挙げ、当該問題に関する動きが高まっていることを強調した。そのほか、災害移転プラットフォーム(PDD)からAtle Solberg部門長が登壇し、「移転に関するタスクフォース」の活動について、気候変動の損失と損害に対処するためのワルシャワ国際メカニズム執行委員会への提言に多様なステークホルダーが参加したことなどを紹介した。

「科学的知見」に関するセッションでは、Hans-Otto Pörtner IPCC第二作業部会共同議長がIPCC1.5℃ 特別報告書によって、気温上昇が1.5℃のシナリオと2.0℃のシナリオで明確な違いが明らかにされたことを示した。「NDCsと資金」に関するセッションでは、NDCs(各国が定める貢献)に対して、いかに海洋に関する目標設定を組み込むかについての議論が行われた。


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日本パビリオンで開催された、ROCA主要テーマに関する課題別のセッションの様子


最後にハイレベル・クロージングが、海洋政策研究所の角南所長を議長として開催された。初めに議長から、2019年に日本で開催されるG20やアフリカ開発会議(TICAD)が海洋と気候変動の問題について各国が議論するプラットフォームとしての役割を果たし、今後の気候変動と海洋の関連性が活発に議論されることへの期待が示された。また、Susi Pudjiastutiインドネシア海洋水産大臣は、COP24で海洋の重要性が改めて認識され、今後は海洋生態系の気候変動リスクに対して多様なステークホルダーが取り組む必要があると述べた。Luis Alfonso de Alba 国連気候サミット特別大使(Isabel Aranda氏による代読)からは、2019年に開催される国連気候サミットにおいても海洋が重要な議題となることが示された。


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(左上)ハイレベル・クロージングで議長を務めた海洋政策研究所の角南所長
(右上)Susi Pudjiastuti インドネシア海洋水産大臣
(左下)移転・移住セッションの成果報告を行う海洋政策研究所の前川美湖主任研究員
(右下)満員となったパシフィックパビリオンの様子


この他、前日の12月7日(金)午後には、海洋からの緩和策として注目されているブルーカーボンをテーマにしたOceans Action Day連携イベント「Blue Carbon - Linking the Latest Science and Policies」(主催:笹川平和財団海洋政策研究所、UNESCO-IOCほか)が日本パビリオンにおいて開催され、最新の科学的・政策的な理解に資する書籍の出版が紹介されたほか、科学的知見と政策について集中的に議論が行われた。港湾空港技術研究所の桑江朝比呂 沿岸環境研究グループ長がパネリストとして登壇し、浅海域における生態系のブルーカーボンとしての潜在性について最新の科学的知見をもとにした発表が行われた。さらに、Stephen Crooksブルーカーボンイニシアティブ作業部会共同議長からは、ブルーカーボンとしての生態系に関する新たな研究や、社会科学的なアプローチ、さらにブルーカーボンの低炭素戦略への統合などへの期待が述べられた。


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7日に行われたブルーカーボンのセッション登壇者の集合写真 。日本からは(右から4人目から順番に右へ)
港湾空港技術研究所の桑江朝比呂 沿岸環境研究グループ長、JAMSTECの白山義久特任参事、
海洋政策研究所の角南篤所長および前川美湖主任研究員が参加した。


今年10月に公表されたIPCC 1.5℃特別報告書によって、海洋を取り巻く課題が改めて浮き彫りになったほか、来る2019年には海洋・雪氷圏に関する特別報告書の公表が予定されている。このほか、2020年の国連海洋会議の開催も予定されており、翌年は海洋に関する注目が今以上に高まることが予想される。多くの登壇者が言及していたように、海洋を取り巻く様々な課題に対して、政治リーダーのみならず研究者や国際機関を含めた非国家アクターの対話が求められる。Oceans Action Dayの開催は、まさにこうした対話の機会を創出している。ますます緊急性の高まる海洋と気候変動の問題に関して、参加者によるネットワークが今後も引き続き議論を発展させることが期待される。


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ハイレベル・クロージング登壇者の集合写真


※笹川平和財団海洋政策研究所は、GOF、UNESCO-IOC などとともに「海洋と気候の行動ロードマップ(ROCA)」イニシアチブを創設し、国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)において発表した。ROCAは、37の政府、国際機関、学術団体、非政府組織等によるイニシアチブで、海洋が気候調整のうえで重要な役割をもつものであること、その海の生態系に対して気候変動がきわめて深刻な影響を与えていることに関して、国際社会の認識をさらに高めること、また、海洋・沿岸域に関する諸問題を適正に考慮する持続的かつ科学的根拠に基づく気候変動政策の実施を促すことをめざしている。


参考:IISDレポーティングサービスによる記事(英文)


【お問い合わせ】

両イベントの開催結果につきましては、下記へお問い合わせください。

公益財団法人 笹川平和財団 海洋政策研究所

Tel: 03-5157-5210

E-mail: oceanpolicy @ spf.or.jp

担当:前川美湖主任研究員、角田智彦主任研究員

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