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「温暖化・海洋酸性化の研究と対策に関する国際シンポジウム -科学と政策の接点-」開催報告

2018.11.29

海洋の温暖化や酸性化の課題については近年の科学研究の進展を受けて、政策面においても国際的に大きく着目されている。特に 2030 アジェンダで掲げられた「持続可能な開発目標 (SDGs)」では、その 14.3 項目において「あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する」と記載されるなど、対策が必要な重要課題の一つとなっており、対応策の具体化が求められている。これらの課題に対して、海洋における温暖化と酸性化の状況を有し、今後必要となるモニタリングの高度化・ネットワーク化などの対応策や、海洋科学分野における政策対話についての議論を行うため、2018年10月28日に「温暖化・海洋酸性化の研究と対策に関する国際シンポジウム」を約80名の参加のもとで開催した。

第1部では、最新の科学と観測ネットワークをテーマとした議論が行われた。Richard A. Feely氏(米国海洋大気庁)及び石井雅男氏(気象庁気象研究所)からの全球や日本周辺海域における海洋酸性化の現状に関する基調講演後、小埜恒夫氏 (水産研究・教育機構)をモデレータとするパネル討議を行った。パネル討議では、原田尚美氏 (海洋研究開発機構)から北太平洋・極域のモニタリングや酸性化の現状について、また、 Kim Currie 氏 (NZ国立水・大気圏研究所) から沿岸域でのモニタリングの現状について紹介が行われた。さらに、Jim Christian氏 (カナダ環境・気候変動省)やMacjej Telzewski氏(IOCCP-GOOS)からのモニタリングネットワークや情報発信について紹介が行われた。これらを踏まえて、外洋域の生物応答評価のためのモニタリングや沿岸域の時空間密度の高いモニタリングなどの、今後必要となる取組について、例えば、NZによる社会全体として沿岸モニタリングのネットワークを作っていく事例が参考になることなどについて議論を行った。

昼休み時間中に行ったクレーアニメーション「もう一つのCO2問題」(日本語吹替版:神奈川県立海洋科学高校の協力で制作)の試写会に続く第2部は、科学と政策をテーマに第1部での議論を更に深めた。Jason Hall-Spencer氏(英国プリマス大学)及び熊谷徹氏(内閣府総合海洋政策推進事務局)からの式根島CO2シープや第3期海洋基本計画に関する基調講演後、藤井賢彦氏 (北海道大学)をモデレータとするパネル討議を行った。パネル討議では、Silvana Birchenough氏 (英国漁業水産養殖学センター)による水産資源等への影響や角田智彦氏(OPRI-SPF)による第3期海洋基本計画に向けた政策提言の紹介とともに、信時正人氏 (エックス都市研究所)から自治体(横浜)における取組ついて紹介が行われた。また、小埜氏からの第1部の概要紹介などを踏まえて、不確実性があるなかでの適切な情報発信や科学に基づく政策決定の重要性について議論した。また、パネル討議においては「里海」などを通じた沿岸域での取組との連携によるステークホルダーとのコミュニケーションや海洋教育の必要性が示された。

<当日の資料等につきましては、下記よりご覧ください>

プログラム&講演要旨

●第1部講演資料:Richard A. Feely氏、石井雅男氏、小埜恒夫氏 、Kim Currie氏、原田尚美氏、Macjej Telzewski

●第2部講演資料:Jason Hall-Spencer氏、熊谷徹氏、藤井賢彦氏、Silvana Birchenough氏、角田智彦氏、信時正人氏、小埜恒夫

※主催:笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI-SPF)、協力:全球海洋観測システム国際海洋炭素観測連携計画(IOCCP-GOOS)、北太平洋海洋科学機関(PICES)

OA_session1.JPG第1部のパネル討議の様子

OA_session2.JPG第2部のパネル討議の様子

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