『日本語教育とその環境−太平洋島嶼地域における−』要約



■調査対象は日本語教育の現状とその環境を観察し研究することであったが、まず基本的な問題として確認したことは、太平洋島嶼地域が、第2次世界大戦後の半世紀の間さまざまな変容を成し遂げたことである。独立国として、立地条件や資源の有無、産業の発達状況、旧宗主国との関係等個々には課題が相違していても、経済的自立が容易でないことは共通した課題である。

■他方、土地の所有や、階級制度、相続制度、離島との関係など根強い習慣や風習が残り、家族制度を中心とした人間関係は文化の中枢を形成し、容易には変わらないことがあることも発見した。

■太平洋島嶼国が日本を見る目は単に経済が発達した近代社会、援助国としてだけではなく、同じ太平洋の島国としてのアイデンティティーを共有している国として親しみが込められていると思うのは考えすぎであろうか?太平洋島嶼国はひとつひとつが小さくても、共通課題を集約すればその規模は広大な範囲に及び、日本がこの隣国を正しく理解することの必要性は極めて重要である。

■それぞれの島嶼国は固有の言語を持ちながらも、ほとんどの国が公用語として英語を残している。近年のグローバル化の時代、国際語として最大の力を持つ英語が既に共通語として普及している事実は21世紀に向けてどれほど有利に働くかわからない。

■遠隔教育の開発は先進国が抱える問題としてではなく、島嶼国の場合は地理的条件から、国内の離島への教育の普及、教育格差の是正という基礎的問題であり、その重要性を認識した。

■日本語教育に関しては、従来の支援を一層強化充実させることはもちろん、新しい支援の方法として域内の高等教育機関である南太平洋大学、グアム大学そしてハワイ大学など、日本や当該国以外で学ぶ機会を奨励することである。そして教材の開発の支援は、島嶼国が多言語社会として優れた言語政策にのっとり言語教育施策を確立していることを尊重し、共同研究のもとに進められるべきである。




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