COCONUTS通信 No.21




ミクロネシア看護医療改善のための遠隔教育事業紹介

笹川島嶼国基金では1996年4月から新たに「太平洋島嶼遠隔教育支援プログラム」をスタートさせました。同支援プログラムのガイドライン作成にあたっては、93、94年の2年間にわたり、電気通信大学の小菅教授を委員長とした委員会を発足させ「太平洋島嶼国地域遠隔教育調査研究」を実施。第1号の助成事業として、グアム大学がミクロネシア地域を対象に行う「ミクロネシア看護医療改善のための遠隔教育」がこの4月からスタートしています。



▲同事業の中心的存在PEACESATマネージャーのブルース・ベスト氏(左)とグアム大学看護学部長モーリン・ホストマン博士(右)

▲ブルースはもともと海洋学者として、米本土からグアムに来た。
小さなミクロネシアの島々を調査でまわっている時、島の人々に出会い、通信の大切さを知り、安価で安定したネットワーク開発に人生を捧げることとなった。
ミロネシア地域ではいくつかの高等教育機関で看護医療教育が行われています。卒業後各離島に戻り医療活動を続けるものの300以上ある各離島では医療活動に必要な基本的な生活インフラが整備されているわけではなく、各看護医療関係者は限られた環境の中で人命救助から島民の健康管理をほとんどの場合一人で行っているのが実情です。本事業は衛星(PEACESAT)を利用し、多元なミクロネシア地域の文化的、物理的ニーズにあった遠隔教育開発と制度の確立を目指すものです。

この9月のミクロネシア出張で、グアム大学の看護学科学長Maureen Fochtman教授PEACESAT ManagerのBruce Best氏と事業の進捗状況を伺うとともに、パラオ、ポナペ、チュック、マジュロで実際に衛星PEACESATを使用した遠隔教育授業を参観してきました。パラオの教育大臣との会談では、国内でdegreeを出す学科を一つ設置するためには人材も費用も多くかかるが、遠隔教育でグアム大学から授業が受けられることは頭脳流出を食い止めるためにも、経済的にも効果が期待される、とのコメントをいただきました。 現在同クラスにはミクロネシア地域の約40人の学生が登録しています。学生は仕事をしながらの勉強なので夜間授業となります。一番西のパラオと一番東のマジュロの時差は3時間あり、マジュロでは終了が夜の10時になってしまう、と言ったような克服しなければならない課題はたくさんあるようでした。それでも、地元でがんばる若い看護婦さん達とそれを支えるファシリテーター役のベテラン看護婦や通信技術面のサポートをする各国のPEACESATオペレーター達の暖かい視線が印象的でした。

GII構想などの波に乗って、同地域でも情報技術を用いたバーチャルユニバーシティの話題が新聞を賑わしていました。PEACESATは同地域で30年近く教育、福祉を目的とした地域ネットワークの開発に取り組んでいます。シンプルで安価なシステムのため、決してグレードの高いサービスとは言えません。但し、遠隔教育の開発は技術の発展のみに頼るべきものでなく、現場の関係者達の絶えまない、地道な努力によるものが大きいことを今回の現場視察で痛感しました。グアム大学の看護学科学長Maureen Fochtman教授が「遠隔教育の開発はあきらめないこと、決してあきらめないことにある」と言っていたことが今でも耳に残っています。

[SPINF事務局]





▲バラオ・コミュニティ・カレッジでの授業風景

▲ミクロネシア連邦、チェック州での授業風景



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