概 要
笹川汎アジア基金(SPAF)は、冷戦後の世界の動きの中で急速な変化を遂げている東南アジア地域、なかんずく旧社会主義計画経済圏の国々の発展支援をすべく、1992年4月に40億円の基金をもって設立されました。当基金は、笹川平和財団の中にある特別地域限定基金のひとつとして位置付けられています。
設立後約10年間は笹川南東アジア協力基金(SSACF)という名前で、カンボジア、ラオス、ミャンマー、並びにベトナムといった、市場経済への移行を目指す4か国のみに対象を絞り、これらの国々の社会・経済改革支援に重点を置いた活動を行って来ました。その後日本財団より、2001年および2002年にそれぞれ25億円の助成金交付を受けたことにより、笹川南東アジア協力基金は笹川汎アジア基金と名前を変えました。「汎アジア」という名称には、基金の対象地域を単に大きくしたばかりでなく、対象地域を意図的に狭く限定しないことによって、急変する国際情勢に臨機応変に即応していこうという我々の願いにも似た決意が込められています。
笹川汎アジア基金は、その役割を果たすべく二通りのアプローチを採用しています。ひとつは、アジア諸国・地域の発展プロジェクトに携わっているNGO(非政府機関)を中心に助成を行い、それらのプロジェクトを資金面から支援しようとするアプローチです。もうひとつは、当基金が自ら問題を発見しプロジェクトを企画運営する方法で、現在、日本国内に存在する助成団体としてはユニークなアプローチと言えるでしょう。
発展と域内協力
笹川汎アジア基金の第一期ガイドライン(1992ー1996)では、現行の経済改革の成功が、対象4か国の発展の鍵を握るものとの認識により、設立当初から活動の焦点を対象国の移行期経済支援に絞ってプロジェクトを展開してきました。当初5年間の活動期間内にアセアン諸国を中心とした東南アジア地域は未曾有の経済発展を遂げると共に、これらの地域に隣接する当基金の対象4カ国も、各国独自の経済改革路線を推し進めてきました。
第二期目(1998ー2002)の活動は、ベトナムのアセアン加盟を契機に東南アジア諸国が域内協力に向け加速度を増しつつあったことを背景に、「発展と域内協力」をスローガンに掲げ事業を展開して来ました。基金の名前は変わりましたが、この方向性は今後も基本的に変わりません。21世紀の幕開けと共に国際的なテロ事件や組織犯罪が頻発し、伝統的な安全保障概念が根本から崩れ去るなど、グローバリズムの負の側面が露呈することにより世界情勢は激変しています。このことを考慮すれば、従来、東南アジアという限定された地域で想定していた「発展と域内協力」という概念は、その規模が大きくなるばかりでなく、より複雑化した文脈の中で達成されなければならない高度な目的に昇華したと言えるでしょう。
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