長江の下流から取水し、基本的に北京―杭州大運河に沿って段階的に水を引き上げて北の黄河、淮河、海河平原に引水する。
東線については1950年代初期から構想されてきた。1972年華北地区の大旱魃後に水電部は東線の調査研究を指示した。その以来20数年間に亘って南水北調企画弁公室を先頭に淮河水利委員会、海河水利委員会、水利部天津市探査・測量設計院が関係地方政府の省、市と各政府部門と協力して大量の探査、測量、設計を行った。1976年に「南水北調プロジェクトに関する近期の企画報告」を国務院に提出し、初回目の審査を通った。1983年3月国務院は水電部が提出した「南水北調東線プロジェクト第1期工事のF/S報告書」を許可した。1993年9月に水利部は関係省、市と共同に「南水北調東線プロジェクト企画報告の修正案」、「南水北調東線プロジェクト第1期工事のF/S修正報告書」を審査し、許可した。
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長江下流の水量が豊富でここ数年間海へ流入する水量は約9600億立米であり、渇水期にも6000億立米がある。東線は長江の下流から取水し、水源が充足で取水量は引水規模によって決められる。企画書には東線工事の最終規模を考慮した。2020年の発展水準を目標にし、規模と本世紀内に華北地区まで引水する第1期工事の規模では各時期の取水量は下記の表で示す。
| 設計水平年 | 最終規模 |
全体企画 |
第1期工事 |
|
| 長期 |
2020年 |
2000年 |
||
|
工 |
長江から取水(m3/s)箇所 |
1400 |
100 |
600 |
| 上級湖に引水(m3/s)箇所 |
800 |
550 |
260 |
|
| 黄河横断(m3/s)箇所 |
700 |
400 |
200 |
|
| 終点(m3/s) |
250 |
180 |
100 |
|
|
引
水 量 |
長江から取水(m3/s)箇所 |
260 |
191.5 |
90 |
| 上級湖に引水(m3/s)箇所 |
167 |
109.2 |
53.5 |
|
| 黄河横断(m3/s)箇所 |
130 |
80.1 |
31.1 |
|
| 終点(m3/s) |
45 |
30.9 |
11.3 |
|
東線の供水範囲は、江蘇省、安徽省、山東省、華北省の四省である。具体的に江蘇省北部、そして徐里下河腹部及びその以東と北部の高地以外の淮河下流平原、安徽省蚌埠市以南の淮河両岸、淮北市以東の新
河両岸及び天長県の一部の地区、山東省の南四湖周辺、韓庄運河と梁済運河の両側、膠東地区の一部都市、山東省北部の黄河灌漑区以外の地区、華北省黒龍港運東地区である。
南水北調東線は既存の江蘇省「江水北調プロジェクト」、北京−杭州運河の河道改造を基礎に淮河治理計画と併せて企画している。東線は、輸水、蓄水、電力供給の3つの工事から構成される。
輸水工事は輸水水路建設工事、ポンプハウス工事、黄河横断工事を含む。
取水地は、淮河の長江への入り江である三江営と、北京―杭州運河の長江への入り江である六
の二つの工事は輸水河道が長江から終点の主水路まで全長1150キロがあり、そのうち黄河以南651キロ、黄河横断箇所9キロ、黄河以北490キロである。主水路支線は全長740キロ、そのうち黄河以南が665キロである。輸水河道90%は現存河道を利用する。
北京―杭州運河は主水路であり、一部の輸水区間で主水路支線を増設する。
東線の地形は、黄河を背骨にして南北に傾斜する形になっている。取水口は黄河の地面より約40m低い。長江から黄河の南岸までは13段に分けてポンプで水を引き上げる必要があり、総揚程65mである。黄河横断後に自然流下法によって流下し、終点まで到達する。
黄河以南は、南四湖の上と下の間にポンプを設置し、その他の区間に3段のポンプを設置する。黄河以南の主水路にはポンプ数は30箇所、主水路に13個、主水路の支線に17個ある。設計水揚げ能力は10200立米で、設備容量は11.05万KWである。1期工事は13段の23箇所にポンプを設置し、設備容量が45.37KWである。
黄河以北の各貯水池の出入り口に5箇所のポンプを設置する。設計水揚げ能力は326立米/S、容量が1.46万KWである。
南水北調東線は、ポンプによる引き上げ方法を採用するがその特徴としては、揚程が低く(大体2~6m)、流量が多く(15~40立米/S)、運転時間が長い(黄河以南のポンプは約5000時間/年)である。一部のポンプは洪水時の分水機能は要求される。ポンプの運転方式に柔軟性と効率性が求められる。
山東省東平県と東阿県間の黄河の河床下でトンネルを開削する案を選定した。長年の地質探査と黄河横断先導洞のボーリングを通じて河床底の基岩の構成と溶岩の発育状況を判明し、トンネル開削上の難題を判明した。
黄河横断工事は東平湖ゲートから運河出口近くまで全長8.67キロであり、そのうち黄河横断のサイフォントンネル区間は634mである。平洞区間は黄河河床下70mの箇所にあり、直径9.3mのトンネル2本を設計している。第1期工事はまずそのうちの一本を開削する。
東線工事沿線の黄河以南の区域に洪澤湖、駱馬湖、南四湖、東平湖などがあり、その堤を強固しなければならない。水庫容量の調節能力は75.7億立米である。新たに貯水工事を建設する必要がない。黄河以北に既存の天津市北大港水庫を利用することができる。天津市団泊窪と河北省の千頃窪は増築する必要がある。河北省の大浪淀、浪窪、黄河以北の平原の5ダムの水庫調節容量が14.9億立米である。
黄河以南に302ポンプハウスがあり、追加発電設備の容量が88.77KWである。平均電気使用量が年間38.2億KW/hで、年間最大電力使用量が年間38.2億KW/hで最大年間電力使用量が57.5億KW/hである。第1期工事はポンプ23箇所があり、発電設備の追加容量が34.3KWである。電力使用量が19億KW/hである。
|
工事内容 |
全体企画 |
1期工事 |
| 土石量(億立米) |
7.76 |
3.04 |
| うち黄河以南(億立米) |
5.33 |
1.76 |
| コンクリート(億立米) |
529 |
143 |
| ポンプハウスプラント(万KW) |
92.18 |
34.41 |
| 送電ケーブル(KW) |
1326 |
1282 |
| 永久土地使用面積と一時使用面積(万畝) |
33.91 |
30.21 |
| 建物撤去費(万間) |
7.6 |
7.6 |
1993年価格水準で計算する場合東線工事の投資総額は約200億元である。第1期工事は約94億元である。
東線完成後、江蘇省、安徽省、山東省、華北省の四省に143.32億立米の水量を供給することができる。そのうち生活用水、工業用水、水運用水が66.56億立米、農業用水76.76億立米である。
東線完成後に基本的に河北省の黒龍港運東地区、山東魯北、魯西南、膠東の一部の都市の水資源不足を解決することができ、北京への供水態勢は整えられるようになる。環渤海地域と黄淮海平原東部の経済発展を促進し、水不足による環境の悪化を抑制することができる。そして北京―杭州運河の済寧〜徐州区間に年間通航の水量を保証することができる。山東省西部と、江蘇省北部のこの食糧基地の安定と発展を保証することができる。