1. ホーム
  2. 事業紹介
  3. 事業一覧
  4. 被災地の保健機能復興と経験共有

一般事業 平和と安全への努力~非伝統的安全保障

2012年
事業

被災地の保健機能復興と経験共有

事業実施者 東北大学大学院医学系研究科・地域保健支援センター 年数 2/2
形態 自主助成委託その他 事業費 23,500,000円
事業概要
2011年3月に発生した東日本大震災は東北地方の沿岸部に未曽有の被害をもたらした。災害の急性期から復興期へ移行する過程で人々の生命、健康、生活基盤を支える保健活動の果たす役割は大きいが、医療保健インフラ、行政機構、医療・行政人材が広範囲にわたり壊滅的な被害を蒙った。公衆衛生課題が深刻化する中、中長期的視野から保健機能全体の復興が求められている。一方、近年、アジアをはじめ世界各地で災害の件数や被害規模が大きくなりつつある。従来、災害医療分野での日本からの情報発信は少なく、今回の東日本大震災の経験と教訓を海外へ発信することが重要である。そこで、本事業では大規模災害における保健活動の役割や保健システム復興の観点から、東日本大震災の被災者・自治体関係者らへのインタビューや被災地の映像による記録を行うとともに、海外専門家との共同研究、国内外への経験・教訓の発信を行う。
実施計画
2年継続事業の最終年度にあたる本年度は、初年度の記録活動を踏まえ、海外事例との比較分析も行いながら効果的な復旧・復興のためのプロセスを検討する。その成果をDVDと報告書にまとめ、国際ワークショップやWeb siteを通じて国内外に発信する。
  • 被災地の映像記録作成(通年)
    初年度に引き続き、保健分野の映像記録を専門とする撮影業者に委託し、被災地の住民や保健師、自治体関係者へのインタビューを行うとともに、健康診断やこころのケア、仮設住宅訪問などの保健活動の撮影(月2回程度)を行う。それらをもとに、大規模災害の発生から復興までのフェーズごとの公衆衛生課題、保健師や保健所をはじめとする保健機能の果たした役割、その復興のプロセスについて分析を加え、DVD(日本語版、英語版)を作成する。完成したDVDは、国内外の政府、自治体、メディア等に配布されるほか、Web siteでの動画配信も行う。
  • 保健機能の復興に関する国際共同研究(通年)
    初年度にタマサート大学のDr. Rodger Doranらを被災地に招へいし、保健機能の被災・復興状況のレビューを依頼した。本年度はその結果や各種資料をもとに、引き続きDr. Doranと共同で、感染症対策などの公衆衛生課題への対応や、人材や物資・資金の調達、インフラ整備、保健行政などの観点から、効果的かつ効率的な保健機能の復旧・復興のためのプロセスを検討し、報告書(日本語版、英語版)を作成する。その際、海外の大規模災害と比較しながら特筆すべき事項や今後の教訓についても盛り込む。
  • 国際会議の開催(2013年3月、於 仙台)
     本事業を通じて得られた成果を国内外に向けて発信することを目的として、仙台において国際会議を開催する。会議には、国際機関、アジア諸国の保健・防災担当者などを招き、経験共有と課題の整理を行う。なお、国際会議に合わせて一部の参加者による被災地の訪問視察も実施する。
事業成果
石巻市の視察の様子(3月8日)

石巻市の視察の様子(3月8日)

大規模災害時の保健機能の回復という観点から東日本大震災の経験と教訓を整理し、国内外へ発信することを目指しています。
本年度は、石巻市の沿岸部(雄勝町、牡鹿町など)での保健活動の撮影、地域住民や保健師などの取材、ロジャー・ドーラン氏(タマサート大学)の招へいなどを行い、DVD(和英)と報告書(和英)を完成させました。アジア諸国の専門家や国際機関などを交えた仙台での国際会議(3月7、8日)でその成果を発信し、災害時の公衆衛生活動の役割や危機管理について議論しました。

ページトップ