
パーセントがもたらす効果
Nonprofit Information and Training Centre(NIOK) 理事長のマリアンナ・トロック (Marianna Torok)、ポーランドの研究者であるクバ・ウィグナンスキー (Kuba Wygnanski)、笹川平和財団のスロバキアとハンガリーの現地代表であり、またスロバキアのパーセント法制定にも関わったヤナ・カドレツオバ(Jana Kadlecova)などは、パーセント法は決してNPOの資金難を解消する特効薬のようなものではないことを強調しており、筆者も同感するものです。
たとえば、米国では平均で一世帯の総収入の約3.3%が寄付されているという統計があります。
収入の3.3%と所得税の1ないし2%の差は明らかではあり、中欧諸国でも、パーセント法はNPOの資金獲得の道が1つ増えた、という点で良かったとの受け取り方をしています。
実際に、パーセント法の効果については以下のようなことがあげられています。
- セクター全体を見た場合、パーセント法からの収入は非営利組織の全収入のうちの1%未満を占めるにすぎない。
つまり市民や企業などからの寄付、政府からの委託事業や助成金、財団などからの助成金などの収入は依然として必要不可欠である。
- ただし、パーセント法から受ける資金はその使途を特定されない。多くの助成金がプロジェクト・グラント(事業助成)として事務所の経常経費等のようなものは通常含まれないのに比べ、いわばジェネラル・グラント(機関助成)のような役割を果たすため、使い勝手の良い資金である。
- 通常はなかなかグラント(助成)を受ける機会が少ないような地域に根ざした小規模な団体が資金を受けることができるという点で、いわゆるEqualizing effect (平衡化)がある。
- 市民が税金の使途を指定できるという意味において、直接民主制を進めることができる。
- 非営利組織側では、市民からの支援を実感として受け止めることができ、精神的支えとなる。
- 非営利組織が市民に自らの存在を訴えかけていく過程で、アカウンタビリティ(説明責任)を果たし、会計処理や意思決定機構などを整備することで組織的に成長していくことが期待される。
特に上述3の点については、実際にハンガリーでも、パーセント法の恩恵を受けているのは、全国的に有名で実際に活発な事業を行っている団体、さもなければ地域に根ざした、非常に小さな団体(子供の学校を支援するために保護者等が設立した財団、ヘルスケアやその他の福祉を行う団体)などであると言われています。NIOKの調査によると、年間予算が1千万フォリント(約550万円)以上の大きな団体では、パーセント法による資金は全体予算の4%程度であるのに対し、10万フォリント(約5万5千円)以下の団体では25%を占めています。つまり地域に根ざした、小さな団体であるほどパーセント法によって受ける資金の重要さが高いことがわかります。
|