NPO小辞典


内部留保
企業会計で用いられる用語で、「純利益のうち、社外に分配されないで企業内に留保される部分」(東洋経済・会計学辞典)のこと。構成員に利益を配分しない(非営利公益法人あるいはNPOにはもともと馴染まない観念であるが、「公益法人指導連絡会議」の定める「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(以下「基準」)は平成8年(1996)からにわかに過大な内部留保をいましめるにいたった。下記から推測するに、おそらく単年度収入から諸経費を差し引いて次年度以降に繰り越す差額と、それ以外にさまざまな理由で積み立て、あるいは引き当ててある金額を指すものと思われる。

「基準」は、公益法人の内部留保とはその総資産額から(1)財団法人における基本財産、(2)公益事業を実施するために有している益金、(3)法人の運営に不可欠な固定資産、(4)将来の特定の支払いに充てる引き当て資産等、(5)負債相当額、を除いたものであるとし、これは一定の範囲にとどめるべきであるとする。そしてその範囲は、事情はさまざまだから一律に定めることは困難であるとしつつ、事業費、管理費および(事業のために不可欠な)固定資産取得費の合計の30%程度以下にせよという。例によって不必要に広い事務所はダメだとか、必要以上の退職給与引当資産は該当しない、とかご親切きわまりない。

しかし、どれほどの金額を使わないで将来に備えるかなどという判断は、本来公益法人自身に委ねられるべきものである。とはいえ、ただひたすらに貯め込むことに専念して、将来高層ビルのひとつも買おう、などという公益法人はけしからん、というのにも一理なしとしない。が、それでも一定の支出を義務付ける、という手法で対応するのが筋である。

会費収入が収入の大部分を占める社団法人のような場合には、メンバーの意向もあることだから、貯め込み専門(会費だけ払って何もしない組織のメンバーであり続ける)などということは考えにくい。だからこの議論に実益があるとすれば基本財産からの金融収益をあてにする財団型の法人であろうと思われる。それならば金融収益のうち一定率(たとえば長期金利、あるいは国債利回り相当分)の公益目的への支出を義務付ければよい。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

にわとりと卵
周知の通り、2つの事柄のどちらが原因でどちらが結果かがわからない、どちらともいえるようなケースである。たとえば法人格のないNPOについて、その活動がしやすい環境を整える意味で法制度整備をするか、NPOの活動が社会的に必要とされ、認知されるようになるのが先か、みたいな話がそれ。「特定非営利活動促進法」が前者なら、曽野綾子、竹中ナミ両氏の議論などは後者に近い。ただ、因果関係を問うのでなければ、二者択一で考える必要がないのも明らかである。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

任意団体
権利能力なき社団」を見よ。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

認可法人
特殊法人」を見よ。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

人間の安全保障
human securityの日本語訳。初出は1994年のUNDP(国連開発計画)の『人間開発報告書』だが、1998年日本の小渕恵三総理(当時)がこれを日本外交方針の中心として位置づけて以来、国際的にもさまざまな動きが見られるようになった。いわゆる「非伝統的」安全保障の1つで、特徴的なのはこれまでの安全保障なり国際問題解決の方途なりが、クニというフィルターを通して市民に効果が及ぶのを常としたのに対して、この考え方では、国際機関や国際協調の企てが直接に受益者である市民に対峙する、という構図を取るところにある。その意味ではNGOの出番も多くなろうというものだが、日本にとってはいま1つ重要な意味がある。それは、人間の安全保障という観念が、「恐怖(fear)からの自由」と「欠乏(wants)からの自由」の2つの目標の実現を掲げていることにかかわる。この考え方を支持するカナダなど西側諸国が、前者を優先させがちなのに対し、途上国側はこれは軍事力・警察力を背景にした内政干渉に連なるとして警戒心と反発が強い。後者にプライオリティを置く、あるいは憲法9条下で置かざるを得ない日本外交としては絶好の出番というべきであろう。それかあらぬか、ODAの従来の「草の根無償」スキームが、「草の根・人間の安全保障無償」と改名された。が、実施の実態を見ると従来通りの安全な細切れ援助の寄せ集めという感が拭えない。折角の機会を逃さぬよう、日本のNGOのアドボカシーが期待される場面である。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

ネガティブ・リスト
NPOは志を同じくする人々の集まりである。広く同志を募ろうとすることもあって、何らかの形でこの組織は、この団体はこんなことをしています、というのを世の中に公表する。その際に「これこれのことはいたしません」という形を取る場合があって、それをネガティブ・リストという。たとえばある奨学金給付団体が「女性の方のための奨学金です」といえばポジティブ・リスト。「男性の方には給付いたしません」といえばネガティブ・リスト(negative list)である。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

ネットワーク
最近はやりの言葉の1つで、もともとは読んで字のごとく網の目のようなつながり。放送網などを指す用語として使われてきた。それが仲間の集まりとか、連携組織のような意味から、さらにはそれを通じての情報交換が手段から目的とみなされるものまで、広範な意味で使われている。時と場合によっていろいろな定義が可能であるが、「それぞれ確立した「個」が互いの違いを認識しあいながらも、相互依存関係で自発的に結びついたもので、ある種の緊張を伴う関係の中で意味と価値を作り出していくプロセス」(金子)「ネットワークは水平的に機能する。その中心はどこにでも存在し、周辺は存在しない。ネットワーキングとは、自立した、たいていは小さなグループが、平等な立場で結ばれ、知識を交換し、連帯関係を遵守し、ともに統一活動に参加し、あるいは異なった場所で同時に行動を起こすことを意味する。ネットワークで結ばれた組織は、外部の権威に指導されるのではなく、自らの内発的な力によって動く。ネットワークは従来の組織や制度と違って(中略)競合的ではなく、協調的であり、コミュニケーションをその本質にしている」(Nerfin)というのが一般的なそれであろう。

思いもかけない意味や価値が生まれたりするところがミソである。ただし、逆は必ずしも真ならずで、ネットワークさえ作れば何かよいことが生まれるというものではない。ジョージ・ソロシュは彼が旧共産圏で展開している無数の非営利活動相互間にネットワークができていないのではないか、という質問に対して「私の辞書には networking という言葉はない。 not workingというのはある。」と答えた。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク

能力主義
個々人の能力差に応じて評価や待遇を行うという考え方。通常は組織内の待遇や昇進の基準に能力評価を用いることをいう。この反対が年功序列主義で、わが国においてはタテの人間関係に基づく序列感覚と能力平等観が強いから、能力主義はなかなか根付かないとされる。(中根)弱小NPOの多いわが国では、能力主義に基づく人事制度といったことが議論される以前に、劣悪な待遇とか、非営利イコール薄給などの問題点が強く意識されているのが現状である。

NPOは市場原理の外にいることから、組織自体が事業評価によって絶えずその存在意義を見直す必要がある。したがって構成員の資質・能力を問わないのでは自己矛盾に陥る。が同時に、多くのNPOではボランティアへの依存度が高く、能力主義を貫徹するのが現実的にむずかしいという側面もある。

NPOセョシュナオ・ネ・テ・ラ・レ。シ・ク



PAGE TOP




This page and its sublinks are (c)Copyright 1997-2002 The Sasakawa Peace Foundation